2025年相互関税ショック:急騰前に動いた私の投資判断

📌 この記事でわかること:

  • トランプ前大統領の関税政策が市場に与えたインパクト
  • 関税発表直後にどのセクター・ETFが反応したか
  • 急騰・急落の相場でどのような投資判断が有効だったか
  • 投資家が心の安定を保ちながら相場と向き合うための方法

👤 対象となる読者:

  • 短期的な市場変動と投資判断の関係を学びたい投資家
  • 株価が急騰・急落した際にどう行動すべきか悩む中長期投資家
  • 地政学リスクや通商政策の影響を受ける銘柄分析に関心がある方

🔧 活用できるシーン:

  • 急騰した銘柄の背景を調べたいとき
  • 地政学リスクを織り込んだポートフォリオの組み直しを検討するとき
  • メンタルが不安定になりそうな相場で冷静な投資判断をしたいとき

目次

1. 一つのニュースで揺れた市場と心

2024年4月10日、トランプ前大統領が打ち出した関税政策により、世界のマーケットが大きく揺れました。
中国に対しては最大125%の高関税を課す一方で、中国を除く複数の国々には90日間の交渉猶予期間が設けられるというもので、市場に強いインパクトを与えました。
このニュースは単なる通商政策ではなく、政治的圧力を伴う強烈なメッセージとして受け取られました。

詳細は以下のJETROのビジネス短信をご参照ください。​
トランプ米大統領、多数の国に対し相互関税を90日間停止と発表、中国にはさらに税率引き上げ

私にとっても、この日は忘れられない1日になりました。
この発表を受けて、保有していた個別株の一つであるRigetti Computing(RGTI)が急騰し、一時的に15%以上の上昇を記録しました。また、NVIDIA(NVDA)も値を上げ、市場全体の関心が高まっていたのを感じました。

具体的には、RGTIは2025年4月9日に始値7.98ドルから高値9.46ドル(+18.5%)まで急騰し、終値は9.39ドル(+17.7%)となりました。
翌4月10日も始値9.07ドルから高値9.74ドル(+7.4%)と日中で大きく動いたものの、終値は9.42ドルと前日比ではほぼ横ばい。
このような急激な値動きは、投資家心理の揺れや市場の不安定さを象徴しています。

それは短期的に見れば「利益が出たラッキーな出来事」だったはず。
でも、心の奥では手放しに喜べない違和感が残りました。

なぜか?
たった一つの発表で、株式市場全体が揺さぶられ、自分の資産が大きく動いてしまった。
その“脆さ”に、強い不安を覚えたのです。

実体経済と金融市場の距離、そして情報によって生まれる過剰反応。
この日をきっかけに「私はなぜ投資をしているのか?」「どう市場と向き合うべきなのか?」を改めて考え直すことになりました。

この記事では、そんな体験から得た気づきや、市場の読み解き方、そして心を保ちながら投資するための考え方を、章ごとに整理してお伝えしていきます。

2. トランプ関税の全貌──何が発表されたのか?

2024年4月10日、トランプ前大統領が発表した新たな関税政策は、世界の経済界にとって衝撃的な内容でした。

主なポイントは以下の通りです:

  • 中国からの輸入品に対して最大125%の関税を課す
  • ただし、90日間の交渉猶予期間を設ける
  • 一部品目については即時発動、それ以外は段階的に適用

この125%という数字は、過去の関税政策と比較しても極端に高く、貿易制裁というより“経済的威圧”に近い印象を与えます。

2.1. 何が対象になったのか?

関税の対象となる輸入品は幅広く、主に以下のような品目が含まれるとされています:

  • 半導体や電子部品
  • 電気自動車(EV)とその部品
  • 農産物(大豆、トウモロコシなど)
  • 医療機器や一部ハイテク製品

関税の対象となる輸入品目に関する詳細な情報は、以下のJETROのビジネス短信で確認できます。
トランプ米大統領、半導体、医薬品、鉄鋼などへの新たな関税賦課表明も、詳細は不明

この報告書では、半導体、医薬品、鉄鋼、アルミニウム、銅、軍事に必要な製品など、関税の対象となる具体的な品目がリストアップされています

これらの項目は、アメリカが戦略的に中国依存を減らそうとしている分野でもあり、「政治的な踏み絵」としての意味合いが強い政策です。

2.2. 背景にあるアメリカの狙いとは?

この政策の根底にあるのは、経済安全保障の考え方です。 ただの通商摩擦ではなく、国家間の技術・供給網の主導権争いが背景にあります。

トランプ氏はこの関税を通じて、中国からの技術依存・経済的影響力を抑えると同時に、アメリカ国内の産業回帰を狙っていると考えられます。

このような背景を理解することは、今後の投資判断においても極めて重要です。

▶ 関連記事:
トランプ政権とドル安・債券急落:投資家が取るべき行動とは?
相互関税と財政赤字が市場に与える影響を、ドル・債券・ゴールドなどから多角的に分析した記事です。


3. 市場の反応と個別株の動き──上昇の裏にある論理

関税発表後の市場は、瞬時に反応しました。
日米の株式市場では値動きが激しく、特に特定のテーマ株やセクターに注目が集まりました。

私自身の保有銘柄も例外ではなく、発表直後から強い値動きを見せました。第1章で触れたとおり、Rigetti Computing(RGTI)は一時的に15%以上の上昇を記録し、NVIDIA(NVDA)も大きく値を上げました。

3.1. 注目されたセクターとその理由

この日、特に大きな値上がりを見せたのは、以下のような分野です:

  • 半導体関連
    中国依存からの脱却を意識した材料需給の見直し。
    実際、2025年4月10日には「グローバルX 半導体 ETF(2243)」が前日比+19.56%を記録し、半導体分野への資金流入が鮮明に現れました。
  • 防衛・航空宇宙
    地政学リスクの高まりを受け、軍需関連に注目が集まりました。
    ただし、iShares U.S. Aerospace & Defense ETF(ITA)は同日+0.7%の上昇にとどまり、資金流入としては限定的な動きに見えました。
    他セクターに比べて急騰は見られず、「注目はされたが主役ではなかった」と言える状況です。
  • 素材・エネルギー
    関税による供給制約の懸念から、原材料価格の上昇が見込まれ、素材・エネルギー関連株が買われました。
    NEXT FUNDS エネルギー資源(TOPIX-17)上場投信(1618)は、前日比+8.50%の上昇を示しました。

なかでも、防衛関連銘柄や米国国内で製造拠点を持つメーカーは、「国内回帰」「供給網再編」という文脈で評価されました。

3.2. 指数やETFも敏感に反応

個別銘柄だけでなく、

  • 米国のS&P500やNASDAQは発表直後に一時的に下落したものの、テーマ株が買い支える展開に
  • テーマ型ETF(例:半導体ETF、インフラETF)などが活発に取引される動きも

これらの反応は、一過性のボラティリティというよりも、投資家たちが“新たな相場観”を模索し始めている兆しとも言えます。

3.3. 「なぜこの銘柄が上がるのか?」を読み解く力

一見すると、「関税で世界経済が不安定=株価下落」と思いがちですが、実際にはその裏で恩恵を受ける企業や分野も存在します。

つまり、重要なのは「どこにお金が流れるかを冷静に見極める力」です。
たとえば今回で言えば、防衛関連や素材産業への資金流入が明確でした。
こうした“流れの起点”に気づけるかどうかが、今後の投資成績を左右する場面が増えていくはずです。

この章では、そんな視点のヒントとして、市場のリアクションを振り返ってみました。


4. 踏み絵という感覚──明確になる世界の陣営

今回の関税政策を聞いた瞬間、私の頭に浮かんだのは「これは踏み絵だな」という感覚でした。

つまり、どの国・企業がアメリカ側につくのか、それとも中国との取引を維持するのか──その立場が試される状況。 これはただの経済制裁ではなく、地政学的な選別が進む「線引きの開始」とも言えるでしょう。

4.1. 政策の裏にある地政学的メッセージ

トランプ政権はこれまでにも対中強硬策をとってきましたが、今回の関税はその延長線上にありつつ、より明確な“ブロック化”を意識させるものでした。

  • 中国排除を含む経済圏の再構築
  • クワッド(日米豪印)など安全保障の枠組みと経済の連動
  • 米国内製造業回帰と友好国との連携(いわゆるフレンド・ショアリング)

これらは、単なる短期のトレード材料ではなく、長期的な世界構造の変化を示すサインでもあります。

4.2. 投資家としての“立場”を問われる

こうした流れの中で、投資家である私たちも無関係ではいられません。

例えば:

  • 中国関連株を保有し続けるか?
  • 新たな成長セクターはどこか?(例:国内インフラ、防衛、エネルギー)
  • 政治リスクの高い銘柄や新興国資産の扱い

情報を“材料”として消費するだけでなく、「自分はどう判断するか?」を問われるのが、今の相場です。

4.3. これから問われるのは“情報の読み解き方”

単に「ニュースを知っている」では足りない時代です。
背景や意図、国際関係とのつながりまで含めて読み解き、投資戦略に反映できるか──それが今後の鍵になると、私は強く感じています。


5. 私の投資判断──ポートフォリオの再構成とその理由

5.1. 相互関税発動──「これはただ事じゃない」と判断

トランプ前大統領が「相互関税の発動」を宣言した際、市場は大きく下落しました。
この報道を見て、私は「これは一時的な調整ではなく、リスクが顕在化したサインだ」と直感し、すぐに動き出しました。

まず取り組んだのは、不要銘柄の整理です。

  • 決算内容に不安のある中小型株
  • 地政学リスクにさらされる企業

これらを中心に売却を進め、ポートフォリオをスリム化。
キャッシュ比率も引き上げました。

5.2. 冷静な準備が「急騰相場」を迎える土台に

その後、2024年4月10日にトランプ氏が「対中国に最大125%の関税」「他国には90日間の猶予」という新たな関税政策を発表。
市場は一転して急騰し、私の保有銘柄の中にも大きく値を上げたものが現れました。
(この日にどのようなセクターに資金が流れたかは、第3章で詳しく紹介しています)。

でもこのとき、私はすでに不要株の整理を終えた状態。
相場の波に飲まれることなく、落ち着いて状況を受け止めることができました。

事前に行動していたからこそ、こうした動きを冷静に観察でき、「備えること」の重要性を改めて実感しました。

5.3. 長期投資へのシフト──心の安定を優先した判断

この急変動を経て、私は投資方針そのものを見直しました。

毎日のように価格をチェックし、SNSで情報を追い続ける投資スタイルは、心をすり減らす──そう痛感したのです。

そこで、今後は「ウォッチしなくても済む」構成に切り替えることを決意。

  • NISA枠で「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」を購入
  • 機会損失を避けるため「VOO」も一部取得

頻繁に売買する必要のない、安定した資産構成に切り替えることで、気持ちにも余裕が生まれました。

「急騰で利益を取る」よりも、「相場に振り回されずにいられる構成にする」 それが、今回の混乱の中で得た最大の学びだったかもしれません。


6. 心の不安定さと投資──冷静さを保つ難しさ

写真提供:Ryan Quintal(Unsplash)https://unsplash.com/@ryanquintal

市場が大きく動いた日々の中で、もっとも感じたのは「心の揺れ」でした。
利益が出たはずなのに、不思議と安心できない。
むしろ、次に何が起こるかわからない不安の方が大きくなる──そんな心理状態に陥ったのです。

6.1. 情報過多がもたらす混乱

関税のニュースが出た瞬間、SNSやニュースアプリは関連情報であふれました。
次々と飛び交う「この銘柄が上がる」「この国が危ない」という断片的な情報。

一つひとつに反応していたら、頭も心もパンクしてしまいます。
実際、私はその日の夜なかなか寝付けず、翌日の仕事にも集中できないほど、メンタルが不安定になっていました。

6.2. 投資スタイルがメンタルに与える影響

この経験を通じて、「投資で疲れるのは情報そのものではなく、常に判断を求められることだ」と気づきました。
私はもともと長期投資を軸にしていましたが、この出来事をきっかけに、短期投資の割合を見直すことにしました。

特に個別株の保有数を絞り、日々値動きを追わなければいけない銘柄を減らすことで、日常的な負荷を下げる方針へとシフトしました。

その一環として、以下のような判断を実行しました:

  • NISA枠で「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」を購入
  • 機会損失を避ける目的で「VOO」も一部取得

ウォッチ不要なインデックス投資の比率を増やすことで、「見る必要がない安心感」が生まれたのです。

6.3. 心の安定を保つための工夫

投資をするうえで、心のコンディションを整えることは非常に重要です。 私が意識して取り入れているのは次のような習慣です:

  • 情報をあえて“間引く”:SNSや速報通知は見ない時間を作る
  • 定期的にポートフォリオを“見ない日”を設ける
  • 「何もしない」選択を肯定する

これらを意識したことで、「投資=常に動くもの」という考えから、「投資=整えて待つもの」へと気持ちがシフトしました。

利益を上げるだけが正解ではない。継続すること、安心して投資に向き合えること── その大切さを、今回の体験が教えてくれたと感じています。


7. 今後の展望──ニュースとどう向き合うか

今回のような大きなニュースが飛び込んできたとき、投資家として問われるのは「どう反応するか」ではなく、「どう距離を取るか」だと実感しました。

私はもともと長期投資をベースにしているものの、今回のような急変動時には短期的な判断も求められます。
しかし、そのたびに感情を揺さぶられていては、長期投資を継続すること自体が難しくなる。
だからこそ、「ニュースにすぐ反応しない力」「取捨選択する視点」が、これからはますます重要だと感じています。

7.1. 短期と中長期、それぞれの視点を“選んで使う”

相場が荒れると、つい短期の値動きばかりに目が行きがちですが、

  • 「今の動きは一時的か、それともトレンドの変化か?」
  • 「自分の軸に影響する情報かどうか?」

そういった視点でフィルターをかけることが必要です。

私自身、今回の相場を通じて、

  • 長期用の資産は“基本ノータッチ”
  • 短期は“最小限かつ事前に備えた部分だけ” という形で、視点を切り替えて対応するスタイルを意識しました。

7.2. 情報との“適切な距離感”を持つ

情報があふれる今、すべてに目を通すのは現実的ではありません。 それよりも、

  • 自分の戦略に必要な情報だけを選び取る
  • 不確実なものは「保留」にする余白を持つ

といった、情報との付き合い方を整えることのほうが重要だと感じています。

特にSNSや速報系メディアに触れすぎると、知らないうちに“常に動かなければいけない”という錯覚に陥ります。 でも、動かないという選択こそが、最適な場面もある。

7.3. 「軸を守る」ためのアップデート

今回の経験を通じて思ったのは、投資の世界では「何を変えるか」よりも「何を守るか」の方がずっと難しいということです。

私にとっての投資の軸は、

  • 長期で成長を取りに行く
  • 精神的な余裕を持って向き合える構成にする というシンプルなものです。

その軸を保ちつつ、ニュースや相場環境に合わせて「どう反応するか」を微調整していく。 これこそが、今のような変動の激しい時代に求められる投資姿勢なのかもしれません。

未来は読めなくても、“どう行動するか”は自分で決められる。 それが、今回の学びでした。


8. おわりに──混乱の中でも得られた気づき

今回の関税発表は、まさに“嵐”のような出来事でした。 市場は一夜にして動き、情報は渦のように押し寄せ、感情は大きく揺さぶられる——。

けれど、その混乱の中にも、確かに「得られたもの」がありました。

8.1. 情報の怖さと向き合うことの大切さ

情報は力になる一方で、誤った判断に導くこともあります。
例えば、SNSで「この銘柄は次に爆上げ」と言われた株を勢いで買い、数日後に急落した経験は、一度や二度ではありません。

でも、自分の考えを持ち、軸を決めて臨めば、情報に振り回されずにすみます。
今回の出来事は、そうした“情報との距離感”を学ぶ良いきっかけになりました。

8.2. 投資に必要なのは「整える力」

暴落も高騰も避けられないものですが、 そのたびに心が乱れていては、投資は続けられません。

むしろ必要なのは、

  • 資産の構成を整える力
  • 判断軸を整える力
  • 心を整える力

この3つの「整える力」──資産、判断軸、心──を実際の行動に落とし込むと、「定期的なポートフォリオ棚卸し」「投資ルールの明文化」「投資時間の制限」といった形になります。これらがあることで、不安定な相場でも“ブレない投資家”でいられるのです。

8.3. 終わりではなく“始まり”に

この体験記はここで一区切りですが、 私自身の投資も、相場も、まだまだ続いていきます。

今回の気づきが、この記事を読んでくださった誰かのヒントになればうれしいです。 そして、一緒に「変化とどう向き合うか」を考え、学び続けられる仲間でいられたらと思います。

ここまで読んでくださり、ありがとうございました。


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この記事を書いた人

Python・投資・業務効率化をテーマにしたブログを運営しています。
本業では社内ツール・アプリの運営・開発をしており、趣味はキャンプや食べ歩きです。

このブログでは、実体験や実務で役立った知識をベースに、
初心者でも再現できる情報発信を心がけています。

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